「かつらはどうやってくっついているのか?」
「さわられたり、強い風が吹いても取れないのか?」
「プールに入っても大丈夫か?」
などなど。
薄毛・はげの対策を考えていて、かつらを使ったことのない方にとっては、その強度、つまり安全度について、たくさんの疑問がわきますよね。
「万が一にも取れたしまった時の被害は。。。」
想像もしたくない程の大きさなのは、まちがいないでしょう。
「でもそうなるリスク、安全度がよくわからない。。。」
「そんなものに自身の外見を委ねてしまって大丈夫なのか?」
今回はそれらの疑問に応える、かつら装着の実際(強度)についての記事です。
かつらの構造
装着の実際の前に、まずはかつらの構造を解説いたします。
かつら構造の概略
「かつら本体」というと、多くの方はお笑いや時代劇で見かけるものを思い浮かべるのではないでしょうか?
もみあげがあり、後頭部まですっぽり覆うような。
一方でウェブなどでよく見かけるのは、楕円形の毛虫のような写真。。。
見てるだけでハードルが上がりますよね。筆者でも引いてしまいます。(^^ゞ
単体では直視しない方がいいもの、世の中にたくさんありますが、そのうちの一つだと思います。
ここではイメージ図で解説していきます。
薄い緑がベースのイメージで、濃い緑がベースのエッジ(縁)を示しています。エッジの出来は重要です。
特に額の部分のエッジは、髪の生え際のラインと一致する(生え際を作り出す)ので特に重要です。
ベースに髪を模式的に加えたのが下の図です。
当然ながら、髪の出来は非常に重要です。
色、ツヤ、太さ、質感、毛量といった新品の見映えも重要ですが、縮れたり抜けたりしないかといった耐久性の観点も非常に重要です。
イメージ図から想像いただけると思いますが、特にエッジの周りは劣化すると大変目立つことになります。
それらを踏まえて業者や、その業者の提供する素材:
・人工毛か、
・人毛か、
・混合か など
を選ぶこととなります。
具体的な選び方については、今後書いてみたいと思います。
頭皮・頭髪との接続部(編込み・接着・ピン留め)
接続部はベースの裏側(頭皮・髪に接する側)となります。
大きく以下の3種類があります。
1.編込み
製品の裏側の接続箇所(*1)と、自毛とを、何らかの方法で接続(*2)する方式です。
それぞれの接続箇所での接続が非常に強固で、接続箇所を切離すのはほぼ無理です。
また接続箇所が比較的小さく、その数をピンに比べ多くすることができるため、接続箇所当りの負荷を低くすることができます。
- *1接続箇所:筆者の製品のケースですが、ベース裏側のエッジ近くに、収縮性のある細い糸を張り巡らせてあります。
下の図を参照願います。
例えば製品サイズが、直径約20cmの円のような形状で、後頭部側の半分を編込む場合※、接続箇所は約14か所です。
つまり接続箇所の間隔は約2cmとなります。
(20cm×3(円周率)÷2(半周)/14=2.1cm)
※編込み範囲は色々と調整ができます。
髪が薄い前頭部のみを接着として3/4周程度を編込む
接着の両隣りをピン留めとして半周を編込む など
- *2接続方法:製品側へ自毛を結びつけた上で、
・接着剤(一般的な瞬間接着剤に似たもの、紫外線で固まるものなど)で接着する、
・またはつぶし玉(かしめ玉)で圧着する
などの方法があるようです。
筆者のケースですが、つぶし玉の大きさは1mmに満たないので、また基本的に製品の裏側に入るので、他人から視認される心配はまずありません。
2.接着
製品の裏側の接着用エリア(*1)と、頭皮とを、何らかの方法で接着(*2)する方式です。
頭皮との接着ですので、接着剤の強度には限界があります。
しかしながら、接着用エリアの大きさにもよりますが、頭皮との「面」での接着になるので、かなり強固です。
- *1接着用エリア:ベース裏側の一部は、両面テープや接着剤が付着しやすいような生地を使っています。
生地は
・ポリウレタンや
・シリコン樹脂を
ラミネート加工したような感じです。
大きさは、一般的にはエッジから数cm幅ですが、全体を頭皮に張り付けるタイプの製品ではエッジから頭頂近くまでの全体となります。 - *2接着方法:両面テープや、人間の皮膚でも大丈夫な接着剤が使われます。
どちらも接着強度は商品により様々です。
3.ピン留め
製品の裏側に取り付けたピンで、自毛を挟み込む(ピン留めする)ことで製品を固定する方式です。
頼りない感じがしますが(筆者も最初に聞いた時は、驚きました。)、きちんと挟み込むとかなりの強度があります。
筆者の主観、感覚ですが、ピン1つと、2×3cm程度の両面テープによる接着とで、同程度の強度があると思います。
接続箇所数ですが、 例えば製品サイズが、直径約20cmの円のような形状で、全周をピン留めする場合、約7か所で十分です。
(筆者の経験上。)
つまりピンの間隔(中心~中心)は約9cmとなります。
(20cm×3(円周率)/7=8.6cm)
ピンは、機能は一般のピン止めと一緒ですが、一般より固めに作られていたり、より髪を挟み込みやすいよう、形状に工夫がこらされています。
大きさですが、
・凡そ35mm×15mm前後、
・厚さは1~2mm程度と、
編込みのつぶし玉と比べると大きいです。
しかしながら製品の裏側に入るので、他人から視認される心配はまずありません。
次のサンプル画像やリンクを参照願います。 《他のサンプル画像へ》
ただし、装着した状態で製品の髪の上から触ってみると、流石に異物感がわかると思います。
実用上の接続の強度
それぞれの接続方式について、概略と構造上の強度は上記に記載しました。
ここでは実生活での使用環境をふまえた、実際の接続の強度について解説します。
接続方式別の強度
1.編込み方式の強度
構造上は最強の接続方式と思われますが、実生活では以下を考慮する必要があります。
①自毛が根元から抜けてしまうケース:1か所につき、自毛を概ね10本程度、束ねて接続箇所へ結びますが、全ての自毛が抜けてしまうケースがあります。
原因としては、
1.接続箇所に近い自毛エリアでの薄毛化の進行や、
2.(それに起因して)接続箇所から遠い自毛を、無理して結ぶことによる自毛への負担 など
があります。
②自毛が伸びるので製品固定が甘くなるケース:毛髪業者の店舗などで編込みをセットした直後(最適状態)は、製品が頭皮近くにカチッと固定されている感があります。
しかしながら自毛は当然ですが徐々に伸び、3週間もすると固定が甘くなっていることが実感できます。
具体的にはシャンプーの時などで、水を含んで重くなった製品が、
・重力で引っ張られている感、
・頭皮から浮いている感
が時おりあります。
ただし、見映えへの影響はあまりありません。
自毛の伸びによりシャンプー時の負担が増し、それにより自毛が抜けるなど、①と②両方の相乗効果となってしまうこともあります。
そんな時は、次回の店舗でのセットが待ち遠しくもなります。
2.接着方式の強度
頭皮と接着させるので、接着剤の強度には限界があると記載しました。
実生活ではさらに、頭皮からの汗の影響で接着の強度が弱まります。
ですので、特に夏の期間は注意が必要です。
しかしながら毎朝などの接着の都度、新たな接着剤や両面テープで最適状態に持っていくことができます。
(これは編込み方式にはない、メリットです。)
そのため、 店舗でのカットやセットなどの日時とは関係なく、 かなりの強度の状態を維持し続けられます。
3.ピン留め方式の強度
ピン一つ当りの接続強度は、 2×3cm程度の両面テープ接着と同程度と記載しました。
ですので、両方式の強度は概ね同等と考えてください。
もちろん両面テープや接着剤を隙間なく使ったとすると、ピンより接続箇所を多くすることができるので、その分接着方式の強度を上げることができます。
一方でピンの場合は、汗の影響をほとんど受けないというメリットがあります。
最適状態については、毎朝の装着時はもちろん、水泳の後や帽子の脱着の後などの気になる時に、パチン、と留めなおすことで、簡単に最適状態に持っていくことができます。
従ってピン留め方式は接着方式と比較して、微妙なメリット・デメリットはありつつも、ほぼ同等、ということができます。
4.接続方式別の強度の比較(イメージ)
以上から3者について、概ね以下のような強度のイメージとお考え下さい。
編込みを否定しているわけではありません。念のため。
実際に筆者もその方式を使っていますし。
かつらとの差別化で、特にかつては編込みを売りにしていた(当然、色々な接続方式に対応しています)ファンの多い大手毛髪業者へのリンクも置きました。筆者もファンです。ご参考に願います。
実用においては、それぞれの接続方式のいいとこどりができるように、製品を設計する必要があります。
その辺りについては、別の機会に書こうと思います。
結局どの程度の力まで耐えられるのか?
風が吹いてきましたねぇ。
大丈夫ですよ。
おや、雨かな?
大丈夫ですよ。
こんな感じのテレビCMが凡そ40年ほど前にオンエアされていましたが。。。
雨、風やプールで、かつらが取れたりしないか?
体験から言えることですが、風や雨程度では、全く心配いりません。
最適状態(上記で解説)でない時でさえ、かなりの強風に吹かれても、問題はないです。
ただし、風で帽子が飛ばされないようにするのと、同様な注意(*)をした方が、製品に負担がかからず安心ではあります。
*具体的には、帽子のツバに裏から風が当たらないように、頭頂部から風を受けるようにする工夫
プールは?
普通に水面に顔を付けて泳いだり、潜ったりする分には、最適状態であれば、全く問題ありません。
(ただし、飛込みは不安があり、試したことがないのでわかりません。)
そう言われても、不安感はあると思います。
おすすめなのはスイミングキャップをかぶることです。
<余談:プールでのスイミングキャップの着用> マナー・エチケットとしてキャップ着用が義務化されている施設では、当然着用すべきですが、そうでない施設では違和感があるかもしれません。 そんな方はこう考えてください。 スイマーのエチケットとして着用するんだと。 キャップ着用を義務付けない施設は、ユーザの自由度のためにそうしているのであって、抜け毛が漂っていない景観の維持や清掃の都合上は、キャップ着用がありがたいに決まっています。 そんな事情や安全上の理由で、学校のプールではキャップ着用が多いはずです。 |
スイミングキャップ着用なら、当然ですが飛込みも全く問題ありません。
ただし、キャップの脱帽時には十分な注意が必要です。
ケンカなどで、 かつらが取れたりしないか?
これは言うまでもなく、さすがに無理です。取れます。
体験はしていませんが。
小学生の頃に友達同士がケンカし、一方が相手の髪の毛をわしずかみにして、そのまま抜けてしまったことがありました。
直後は10円はげどころではなかったです。可哀想に。。。
このようにマジになると、子どもでさえ、かつ自毛でさえ、ごっそりと抜くことができてしまいます。
ですので言わずもがなですよね。
さわられた拍子に、かつらが取れたりしないか?
「(友だちなどから悪意なく)さわられたりして取れないか?」
実はこれが一番心配なのではと思います。
実際、筆者がそうでした。
筆者がまだかつら歴1年未満で、この不安を抱え続けていた頃でした。
飲み会で全然別の話題をしていた際の、職場の先輩のお言葉で、不安が解消されました。
そうか、髪の毛をさわられることなんて無いんだ!あったとしてもケンカの時くらいか。
その後25年間以上の経験から、お言葉が正しかったことを確信しています。
先輩、意図していなかったとはいえ有難いお言葉を、ありがとうございました!
いかがでしたか?
今回はかつらの構造と接続の強度を、実生活の面も含めて考えてみました。
取れたりしないか?はかなり大きな心配事項だと思いますが、これを読んでご安心いただけたら、また少しでも参考になれば幸いです。